保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。

「ねぇ、菜花。あんた、やっぱり夏目くんと何かあったでしょ」

「……っ、」

みんなの目線が一気に私に集中する。

「菜花」

「……えっと、」

こんな話をまさかみんなにする日が来るなんて。

でも、正直、ずっと自分の中にしまっておける自信もない。

こんな気持ち初めてで。
どうしたらいいか分かんないから。

だから……。

「……菜花は夏目くんのこと、どう思ってるの?」

光莉に優しくそう聞かれて。
私は意を決して口を開いた。

「……前はなんとも思ってなかったんだ。というより、どちらかというと苦手っていうか。けど、夏休みに話す機会があって……」

「じゃあやっぱり、夏目くんがデートしたっていう相手って……」

雪ちゃんのセリフに小さく頷く。

夏目くんの過去を知れて、彼の家族と過ごして。

私の中で、夏目くんを見る目が変わった。

彼の普段余裕そうな姿は、本人が努力してそう見せているもので。

無敵そうなのに実は少し弱くて。
家族のことを彼なりにちゃんと大切に思ってて。
< 218 / 335 >

この作品をシェア

pagetop