保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。
「煽らないでよ。可愛いだけだよ」
「うるさい」
またそんなことを言ってからかって。
「……泉にも、こういうことされたい?」
「はっ……?なんで急に泉くん……」
私から顔を離した夏目くんのセリフに首を傾げる。
「昼間、楽しそうにふたりで店の中入って行ったから」
「……あっ、あれは」
「あの時、郁田さんのこと呼んだのに」
「……っ、」
「ムカつく」
「えっ」
夏目くんが私から目を晒して呟いたのを聞き流さなかった。
「なんで夏目くんがムカつくの」
自分で聞いておきながら、そのあとの彼の返事が怖くて、ソワソワして。聞くんじゃなかった。
「なんでって……それは……」
──ピコンッ
突然響いた電子音に、肩をビクッと振るわせる。
「っ?!びっくりしたぁ……」
「あ、ごめんっ、俺のスマホ」
タイミング良く、夏目くんのスマホに通知が来てくれたおかげで、緊張感が薄れる。
けど、夏目くんはスマホを取り出そうとはしない。
「メッセージ確認しなよ。急ぎの用かも」
「いやでも……」