保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。
──ブーッブーッ。
「あっ、」
今度は私の方に電話がかかる。
こんな同時に連絡が来るなんて。
やっぱり、今の夏目くんへの質問は聞かなかった方がいいっていうお告げなのかも。
慌てて画面を確認すると、光莉の名前が表示されていた。
「いいよ、郁田さん電話とって」
「うん、ごめん!」
夏目くんにそう言ってすぐに電話をとる。
「もしもし光──」
『菜花!あんた部屋戻らないとかも!もうそろそろ、先生たちが見回りに来るらしくて。さっき見回り来たクラスから連絡きてさ!』
「え、まじですか。わかったすぐ戻る!!」
『うん、気をつけて!!』
──ピッ。
「先生たちが見回り来るらしくて、そろそろ戻らなきゃ」
「あ、そっか。じゃあ急がないと。来てくれて嬉しかった。ありがとう」
そう言った夏目くんが、私の頭に優しく手を置いて。
静まれ、心臓。
鏡を見なくても顔が赤くなってるのがわかる。
完全に今までとは違う別の意識が私の中にできてしまっている。
「私もこれ、あの、ありがとう……」
「うん。喜んでもらえて何より。階段の方まで送るよ」
「いや、大丈夫!ふたりでいるところ見つかった方が大変そうだし。何かあったら道迷ったで通す」
「そっか。わかった。無事に着いたら連絡ちょうだい」
「うんっ、おやすみ、なさいっ」
そう言って、私は夏目くんたちの部屋を後にした。