保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。
どうしよう。
夏目くんとこのまま話せなくなったら。
好きって、恋って、こんなに神経使うんだ……。
いちいち細かいいろんなことが気になって、すぐ悪い方向に考えてしまって。
このままだと、夏目くんのことを嫌いだから避けているみたいで、嫌な思いさせちゃうよな。
いや、私に嫌われてると思ったって夏目くんはなんとも思わないだろうけど。
今までもそうだったし。
嫌いだって言ってもヘラヘラしていたし。
単純に、今は、私がそう誤解されるのが嫌なだけなんだ。
なのにうまくいかなくて。
「はぁ……」
修学旅行。
まさかこんなことで頭抱えることになるなんて。
前に、夏目くんのバイト先に行ってトイレに逃げた日のことを思い出す。
あの頃は、嫌いでしょうがなかったのに。
人の気持ちなんて、どうなるのかわからないな。
手を洗いながら、鏡に映る自分を見て、昨日の夏目くんとのやりとりが脳裏に浮かぶ。
『見て。郁田さん、可愛い顔してる』
うっ。
思い出して勝手に恥ずかしくなって。
赤くなる自分の顔が映って頭を抱える。
バカ……ひとりで何やってんだか。