保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。

お手洗いを出て。

お昼時間をとっくに過ぎてもまだまだ賑わっている店内を歩き、席へと向かっていると。

「ブーーーンッ!!」

「ちょっとダイチっ!危ないから走らないで!」

どこからか男の子の声と、女性の注意するがして。

とても一瞬のことだった。

「きゃっ!!」

突然目の前に飛び出してきた、飛行機のおもちゃを持った男の子と。

それを避けようと、とっさに足を止めてバランスを崩したウェイトレスさん。

そして、彼女といっしょにバランスを崩した、グラスの中に入った黒くてシュワシュワとした液体が宙を舞って。

バシャッッ。

パリンッッ。

「はっ!!大変申し訳ございませんお客様っ!」

「ちょっとダイチ!!」

店内は一気に静まりかえって、こちらに大注目だ。

うわ、……最悪だ。

胸あたりがひんやりとして、甘ったるい香りが広がって。

目線を落として確認すれば、やっぱり。

チャックを全開にしていたジャージの中から着ていた真っ白な体操着が、見事に茶色く染まっていた。

体操着よりは目立たないけれど、紺色のジャージもこぼれたコーラが跳ねている。
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