保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。

「ダイチ!!謝りなさいっ!!ほんっとうにすみません、うちのバカ息子が!!」

「あ、いえ、その大丈夫、です」

「すぐに拭くものをお持ちしますので!」

私とウェイトレスさんにペコペコと頭を下げる男の子のお母さんと、

慌てて厨房へと戻ったウェイトレスさん。

すぐに別の店員さんがやってきて、割れたグラスを片付け始めて。

ど、どうしようこれ……。

大丈夫、とは言ったものの、こんなの拭いただけじゃ絶対綺麗にならないよね。

この後の予定だってまだまだいっぱいあるのに。汚れたままなんて。

いやでも、ちょっとボーッとしてた私も悪い。

もっと注意していたら、ちゃんと避けられたかもしれないのに。

「え、菜花?!」

遠くからそんな声がして目線を上げれば、光莉たちと目が合って。

向こうに座るみんな、長山くんや夏目くんにも見られてしまった。

「へ、へへ……」

笑うことしかできない。

この格好のままこの後の時間を過ごすのかと考えただけでも憂鬱だし。

「あの、お客様、こちらで……!」

「あ、どうも……すみません、」

慌ててやってきたウェイトレスさんから布巾を差し出されて胸元を拭くけど。

やっぱり目立ってしょうがない。

あぁ……。

「郁田さん」

っ?!
< 255 / 335 >

この作品をシェア

pagetop