保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。

その声に、もう癖みたいに胸が鳴って。

顔を上げると、夏目くんが目の前に立っていた。

「あっ、えっと……」

こんなダサいところ、見られるなんて。
余計と彼の目が見れない。

「脱いで」

「は?」

公衆の面前でおかしなことを言う夏目くんに思わず顔が険しくなる。

まったく、こんな緊急事態に何を言っているんだこの人。

「ジャージ。脱いで」

「えっ」

「ほら、早くしないと」

そう言った夏目くんが痺れを切らしたように、ボケッと動かない私の肩に触れて、

私のジャージを脱がし出した。

な、何やってるんだ!!こんなたくさんの人が見ている場所で!!

あまりにも突然のことで、されるがまま。
ジャージはするりと私の身体から離れてしまい。

「ちょ、夏目く───!!」

何やってるんだと突っ込もうとした瞬間。

爽やかな彼の匂いが私の身体を包み込んだ。

え。

これって。

自分の格好を改めて確認すれば、さっき私が着ていたのとまったく同じ色のジャージ。

でも、一つ、私のと違うのは、胸元に『夏目』の刺繍が入っているということ。

驚いて顔を上げれば、目の前の夏目くんが体操着一枚姿になっているではありませんか。
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