保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。

「あいつのせいでシフト急に増やされて、こっちはすげー迷惑して───……郁田?」

控え目な優しい声が私を呼ぶ声がして目線をあげれば、泉くんが心配そうな顔をしてこっちを見てきた。

今さっき、私の名前を呼んだ声の主が彼だったのかと、驚いてしまう。

あんなに優しい声、出るんだな。

「大丈夫?あいつと連絡とれねーの?」

「え、あ、うん……」

そうだ。
私、泉くんにも修学旅行で自分の気持ち伝えているんだよね。

今思い出して、穴に入りたい気持ちになる。

あんなに強気な発言しといて、恥ずかしいよ。

泉くんには関係ないって言ってるような態度しておいて、このザマだもん……。

それなのにそんな私のことを心配して声をかけてくれるんだから、

泉くんってやっぱりいい人だ。

「ムカつくな夏目のやつ」

「は?なんで楽がムカつくわけ?何様」

泉くんの声を聞き逃さなかった光莉が鋭い口調でそういう。

「うるせー、こっちの話だわ。じゃ」

「あ、ちょ、楽!なんかあいつ最近当たり強くなーい?生理かよ」

泉くんは、光莉のそんな声を無視して自分の席へといってしまった。
< 277 / 335 >

この作品をシェア

pagetop