保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。
「あいつのせいでシフト急に増やされて、こっちはすげー迷惑して───……郁田?」
控え目な優しい声が私を呼ぶ声がして目線をあげれば、泉くんが心配そうな顔をしてこっちを見てきた。
今さっき、私の名前を呼んだ声の主が彼だったのかと、驚いてしまう。
あんなに優しい声、出るんだな。
「大丈夫?あいつと連絡とれねーの?」
「え、あ、うん……」
そうだ。
私、泉くんにも修学旅行で自分の気持ち伝えているんだよね。
今思い出して、穴に入りたい気持ちになる。
あんなに強気な発言しといて、恥ずかしいよ。
泉くんには関係ないって言ってるような態度しておいて、このザマだもん……。
それなのにそんな私のことを心配して声をかけてくれるんだから、
泉くんってやっぱりいい人だ。
「ムカつくな夏目のやつ」
「は?なんで楽がムカつくわけ?何様」
泉くんの声を聞き逃さなかった光莉が鋭い口調でそういう。
「うるせー、こっちの話だわ。じゃ」
「あ、ちょ、楽!なんかあいつ最近当たり強くなーい?生理かよ」
泉くんは、光莉のそんな声を無視して自分の席へといってしまった。