保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。



お昼休み。
お手洗いから教室に戻ろうと廊下を歩いていたら。

ある人物の後ろ姿を見つけたので、思わず名前を呼んだ。

「泉くんっ、」

彼が振り返った拍子で、はちみつ色の髪がフワッと揺れて、大きな瞳がすぐに私を捉えた。

「郁田」

「あ、あの、ごめんね。朝のこと。色々と……心配かけちゃってというか、修学旅行の時も、私、感じ悪かったし」

「え?感じ?悪かった?」

『色々、あるのっ』そう言って、泉くんの善意を突き放したから。

「あ、いや、その……嫌な思いさせてたら謝りたくて……」

「何それ。嫌な思いとかしてないけど。俺が色々質問攻めにしたのが悪いし。……けど、」

ふと、足元に影ができて顔をあげれば、先ほどよりも泉くんとの距離がうんと近くなっていた。

「あいつのことで郁田が悲しい思いするなら、俺にだって考えがある」

「考え……?」

「……なーんてな。俺も店長にあいつのこと他に何かないか聞いてみるから。わかったことあったまた連絡する」

「え、あ、うん……ありがとう」

「ん。だからあんまりシけた顔をすんなよ〜」

泉くんはそう言って、私の頭を少し雑に撫でてから、その場を後にした。
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