保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。
*
夏目くんが学校を休んでから早くも4日が経ってしまった5日目の今日。
学校は朝からある噂でもちきりになっていた。
「ねぇ、聞いた?夏目くんの先輩とのお泊まり旅行!」
「ふたりで旅行カバン持って歩いてるのを駅でみた人がいるんだって!」
教室に着くまでの道のり。
廊下で話す生徒たちの会話から聞こえてくる、聞きたくもない話。
「年上とかやるな〜さすが夏目涼々。あの先輩と前から噂あったよな?」
「天井月子先輩でしょ?お似合いだって一時期騒がれていたけど」
あちこちから飛び交う「夏目くん」「天井先輩」という名前。
「夏目くんはみんなの王子様だと思っていたのに、ちょっとショックかも」
「けど相手が天井先輩なら納得でしょ。すっごい美人だし。『月子』って下の名前で呼んでたらしいじゃん」
一番起こって欲しくないと思っていたことが。
起こってしまった。
ガラッ
「菜花!!」
教室に着いてドアを開ければ、私を見つけてすぐに駆け寄ってきた光莉たち。
その顔は、明らかに、何もかも聞いたって顔をしていた。