保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。

学校近くのカフェ。

頼んだココアを飲んで、

私が倒れたあの日に夏目くんに買ってもらったココアを思い出した。

甘くて暖かくて。

……夏目くんみたい、なんて思いながらカップをテーブルに置いた時、

正面に座って紅茶をすすった天井先輩が口を開いた。

「単刀直入に聞くわね……あなたって涼々のなに?」

ほら来た。
ドラマでみるやつ。

「……」

夏目くんのなんだと聞かれて、答えられることが何もなくて黙ることしかできなくて。

私の方が知りたいことだよ。
私は夏目くんのなんだったんだって。

「私と涼々はね、昔からの特別な仲なの。涼々がまだ小3の頃から彼のことを知っているわ。今の彼のことだって。どこをどうされるのが好きだとか……」

ギュッとスカートの裾を握る。

聞きたくない聞きたくない。
なんでそんな話をわざわざしてくるの。

いいじゃん。今ふたりが幸せなんだからそれで。

私は夏目くんを忘れようと必死なのに。
まるでそれをえぐるみたいな仕方。
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