保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。

あんなに夏目くんのことを無視した分際で、合わせる顔がないって気持ちもまだ残っているけれど。

天井先輩に言われたことがずっと頭に響いて残っているんだ。

『だからさ、話ぐらい聞きてあげてよ。菜花ちゃんだって、つい感情的になって無視しちゃったってだけよね?本当はちゃんも話したいって思ってるでしょ?』

その通りすぎてなにもいえなかった。
ただ頷くことが精一杯だった。

本当は、もっとたくさん、聞きたいことがたくさんあるよ。

疑問に思うこと、確かめたいことばっかりだよ。

このままじゃ、終われない。

夏目くんを嫌いになんて、なれないよ。

まだまだ知らないことだらけだもん。

ぐちゃぐちゃになった気持ちのまま、自然と走っていて。

頬は涙で濡れていた。

もっと素直に、思ってること全部、簡単に話せたらどんなにかいいだろう。

それが難しいのは、

私の中で夏目くんが特別に、大切になったからこそ、

傷つけることが、傷つくことが、怖くて言い出せないことがたくさんあるから。

だけど。

まだ、終わりたくないから。

ずっと、繋ぎ止めたいから。

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