保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。
「やばい……まさか来てくれると思わなかったから……」
両手で鼻と口元を覆いながらそう呟く夏目くんの横顔が、喜んでいるように見えて。
「郁田さんが隣にいる、やば……」
いやいや。
いつもはスマートで私の前ではチャラい夏目くんが、違う人みたいだ。
そして、またこうやって名前を呼んでもらえる日が来たことに泣きそうになって。
だってもう、話すことすら無理だと思っていたから。
2週間以上話していない。
今日までそれがすごく長く感じて。
夏目くんも同じ気持ちだったらいいのに。
涙を全力で堪えようとしていたら。
肩になにかが置かれた。
その重みが夏目くんの頭だと分かって、
今、一番近くに夏目くんがいるんだと実感してたちまち鼓動が速くなる。
顔を向けることができないけどわかる。
夏目くんの優しい香りが鼻腔をくすぐって。
私たちの距離は今、完全にゼロだ。