保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。
「学校で直接、ちゃんと話したかったよ」
いや、どんなに無視されても無理やりにでも引き止めて話を聞いてもらうべきだったのかもしれない。
だけど……。
「でも、学校に着いたら月子とのことが噂になっていて。郁田さんは俺とは話したくなさそうで。はじめはそれでも引き留めようとしたけど、だんだん、俺にその資格あるのかなって思い始めて」
今回のことだけじゃない。
俺はずっと、自分の利己的な欲望のために、郁田さんを利用しようとした。
彼女の気持ちなんてこれっぽっちも考えずに。
だから、そもそもこんな俺に彼女と今更どうにかなりたいなんて思うことが、間違いなんじゃないかって。
それに、無理やりにでも話を聞いてもらって、そうしても、郁田さんに拒絶されたら。
今以上に嫌われて、本気の目で「これ以上関わらないで」と直接言われたら、
それこそ立ち直れない気がして、怖くて。
向き合わないといけないことから、逃げた。