保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。
「え、いや、ちょ、ちょっと待って」
夏目くんが瞬きの回数を明らかに増やして、キョロキョロと目を泳がせながら頭を抱え出す。
ここまで来て、待ってとか、一体なんの冗談だ。
「……えっと、いや、わかんない。聞き間違いかもしれない。郁田さんが、俺のことを、好き?」
ブツブツと独り言を交えながら質問してきた夏目くんと視線を合わせて。
「うん」
コクンと頷く。
自分からこんな風に答えるなんてすごく恥ずかしいけど。
「うんって……そんな可愛く頷かれても」
可愛いかは置いといて、それしか答えがないんだからしょうがないでしょう。
ジィっと夏目くんを見ていたら、彼の耳がどんどん赤くなる。
「まじか、ちょ、予想外すぎて、あの、いつから……」
明らかに動揺しすぎの夏目くんが彼らしくなくてちょっとこっちが冷静になりそう。
私の気持ち、バレてなかったんだ。
「……気づいたら、好きで」
そう言えば、夏目くんが顔全部を両手で覆って少し間を置いて小さく声を出した。
「……泣いていい?」
「えっ?!な?!」
「だって無理でしょ、こんなの。サプライズすぎる。……泣く。これから改めてちゃんと郁田さんと向き合っていいか、その資格をくれるかどうかの話のつもりで今日ここに、だから……まじか、」
常に自信満々で何事にも動揺しない。
それが出会って最初の夏目くんの印象だったから。
目の前の彼がそれとはかけ離れすぎてて。
胸がキュンと締め付けられる。