保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。
襲うとか……そういう発言から、相変わらずいつもの夏目くんだと少し安心して。
「……いいよ」
「は?!」
「夏目くんの彼女になったから。もう好きにしていいよ」
「……郁田さん、自分がどんだけやばいこと言ってるのか全然わかってない」
「今まで夏目くんにされてきたこと考えたら、今更感あるけどね」
「っ、気持ちがあるのとないのと全然違うの。今は、郁田さんのこと傷つけたくないって気持ちが大きいし……大事に、したい」
愛おしい。
そんな感情がどんどん大きくなる。
夏目くんの顔も赤いけど、私だってきっとバカにできないぐらい真っ赤で。
手を伸ばして、ハンカチを握った夏目くんの手を包むようにギュッと握って。
「……郁田、さ、」
「もう十分、その気持ち伝わってるから。すっごく悔しいけど、私、夏目くんのこと好きだよ」
もう、この手を離したくない。
「……っ、ほんっと、ずるい」
息を吐くみたいな声で夏目くんが静かにそう言って。
私をギュッと抱きしめた。
この高い体温を、ずっと忘れたくない。
忘れないぐらい、消えないぐらい。
彼の背中に手を乗せて抱きしめ返して。
「相変わらず熱いね、夏目くんは」
「……郁田さんにだけだよ、こんなに熱くなんの」
そう言って身体を離した夏目くんがふたたび口を開いて。
「……もう絶対に離さない」
私の両頬を温かい手で包み込んでから。
「覚悟してね、郁田さん」
熱を帯びた唇が、私の唇に重なった。