保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。
*
「郁田さんっ」
『もう二度と関わることはないだろうし』そう思ってたのがついさっき。
2時間目の休み時間、みんなと移動教室に向かっていたら、不意に後ろから名前を呼ばれた。
今一番聞きたくない声だった。
私が恐る恐る振り向いたと同時に、両側から「夏目くん?!」なんて驚いた声がして。
あぁ。
……今すぐ帰りたい。
「……な、何?」
みんなの前。
しかも他のクラスメイトの子たちも行き交う廊下。
あからさまに嫌な態度をとって目立つことは極力避けたい。
「体調どうかなって心配で」
夏目くんが眉毛を少し下げてそういえば、光莉たちが「まぁ!」なんて大袈裟に反応した。
あぁ、これだ、夏目くんの狙い。
こんな空気じゃ、無視なんかできないし。