保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。

「もうめちゃくちゃ美味しいよ、夏目くん!」

光莉が目をキラキラと輝かせながら仮面を被った男を見つめる。

……その正体を知ったら、こんなデレデレした光莉だって絶対引くに決まってるんだから。

私の言葉を信じるかどうかは置いておいて……。

「ありがとう夏目くん!今後とも菜花のことよろしくお願いしますっ!」

「ちょっと、光莉っ」

余計なことを言い出す彼女に直ぐに声を被せて注意したけれど、ずっとニヤニヤと笑っている。

何が楽しいんだか……。

「おい」

光莉のニヤケ顔にやれやれと呆れていると、後ろから聞き覚えのある声がして慌てて首を背後に向けた。

「あれっ……」

視界に入ってきた人物を見て思わず固まってしまう。

なんでこんなところにいるんだろうか。

「楽?!」

私が名前を呼ぶ前に、光莉の大きな声がそう呼んだ。

そう。彼女が言った通り、そこにいたのは白のコックコートを着たクラスメイトの泉 楽くん。

いつもの制服の時とは違ってほんの少し大人っぽく見える。

それでも、可愛いのは変わらないけれど。
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