保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。
「あんたなんでこんなところに。え、なにその格好……ってもしかして、」
「あぁ、俺ここでバイトしてるから。光莉の声、まじで厨房までガンガン聞こえてうるせーよ。ほかのお客さんに迷惑」
「はぁー?!うるさっ!!今私たち以外客いないじゃん!」
光莉は『夏目くんの前でやめてくれる?!』なんてさらに泉くんに言い返す。
相変わらず、安定して今日もあたりが強い泉くん。
……まさか泉くんが、夏目くんと同じバイト先だったなんて。
かなりの衝撃。
光莉と泉くん、いつものふたりのやりとりを黙って眺める。
「てか、なんで来てんの?」
「なんでって、夏目くんと菜花が仲良しだから」
「はっ?!いや……」
いちいち誤解を招くような言い方をする光莉にすぐ突っ込もうとしたけど、
そんな私の代わりに夏目くんが口を開いた。
「俺が誘ったの。店長が木村さんたちと会いたがってたから。ほらこの間盛り上がってたバレー部の3年生」
「あぁ、あの時の」
「うん。それで、木村さんたちと仲のいいふたりのことも誘ったんだ」
キラッと爽やかな笑顔を泉くんに向けて話す夏目くんに内心イラッとする。
ほんっと、誰にでもいい顔しちゃってさ。
毒舌な泉くんも彼の徹底された仮面には騙されているのかな。