保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。

「いーくたさんっ」

「……っ、」

なんで。

こんなことに。

お手洗いから出るとすぐ、ニヤついた声が私の名前を呼んだのが聞こえた。

声の方に視線を向ければ、向かいの壁に背中を預けた高身長の彼と、バチッと視線がぶつかった。

正真正銘、夏目涼々。

「良かった来てくれて。あの様子だと来てくれないんじゃないかって思ったから」

そういうと、一歩こちらに距離を詰めてきた夏目くん。

そんな彼とは逆に、元の距離感を保とうと一歩下がろうとすれば、すぐに背中が壁にぶつかった。

「仕方なくだから。光莉が帰宅部ひとりは嫌だって言うから……」

「ふーん。その割には、俺が木村さんたちを誘ったとき残念そうにして見えたけど」

「はい?してないからっ!!光莉が食べ終わったらすぐに帰るしっ」

こうなったら、光莉になんと言われようと彼女を無理やりにでも引っ張って帰るしかない。

嫌だと言うなら置いていく。

夏目くんにこうやって捕まるのだけはこれ以上イヤ。
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