保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。
間一髪。
向こうから夏目くんを呼ぶ声がして、すぐに彼の身体が私から離れてくれた。
「続きはまた今度ね。郁田さん」
夏目くんは手のひらを私の頭の上に軽く乗せてから、呼ばれた先へと戻っていった。
「はぁ……なんなのよ……」
どうしてこうも夏目くんに絡まれてしまうんだ。
少し前は全然関わることなんてなかったのに。
学校に行く以外もこんなに憂鬱になるなんて。
夏目くんなんて大っ嫌いだ。
そして、嫌いな相手に、あんな風に身体が反応してしまう自分ももっと嫌い。
経験がなさすぎるせいなのか……。
とにかく、もう絶対、夏目くんの好き勝手にさせないようにしなきゃ。
……あと数週間もすれば夏休みがやってくる。
それまでの間、もう少しの辛抱だ。