あの空に手を伸ばして
「美咲、今度お友達家に呼んでちょうだい。おいしいものつくるから」
「・・いいの?」
「もちろん。お母さんもちゃんと前に進まないとね」
「ありがとう」
お母さんの笑った顔をみるのは久しぶりだった。
わたしも前に進もう。
サクが前を進み始めたように、わたしも一歩ずつ前へ。
わたしはその日久々にベランダにでて空を眺めた。
「お父さんみえる?」
手を伸ばし、大きく手を振ってみる。
今日は晴れていたから、星がとても綺麗にみえる。
でもきっと私にとって、今日の星空は今までみていたものとは違う。
サクと流星群を見た日、屋上から見上げた星空と同じくらい、わたしにとって思い出に残る空だった。