あの空に手を伸ばして
わたしはその空に向かって手を伸ばした。
それをみたサクもわたしと同じように手を伸ばした。
「みてくれてるかな」
「うん、きっとみてくれてるよ」
わたしがお母さんから聞いた話をサクにするとサクもわたしと同じようにこうして空へと手を伸ばすようになった。
大切な人。あずささんへと。
それがわかるから、わたしはサクへの気持ちを封印した。
こうしてサクが空に手を伸ばしている横顔をみると、本当はすごく苦しい。
今でもあずささんのことが好きなんだって気持ちが伝わってくるようで。
サクから直接好きだったって聞いたわけじゃない。
でも、サクの横顔はいつだって愛おしい人を思い浮かべているようだから。