あの空に手を伸ばして
そんなときにたかしの姉――あずさに会った。
学校の帰りふらふら歩いていた俺の前に歩いていたのはたかしと女。
その女をみたとき、俺は一目惚れ。というものをしたんだと思う。
そして同時に嫉妬した。
たかしにあんなかわいい彼女がいたのかと。
だから、姉貴だよといわれたときは心底喜んだのを覚えている。
俺は風貌はこんなだったし、荒れてたけれど、本当は根は弱くて暗くて、自分でいうのもあれだけど真面目な人間だった。
「サクくん、喧嘩しちゃだめだよ」
あずさと仲良くなるために、俺はたかしに謝り反省し、少しは落ち着いた。
そしてあずさにそう言われるたびに何度も喧嘩をやめようと思った。