あの空に手を伸ばして


「暖かな春の訪れとともに、わたしたちは入学式を迎えることとなりました――」


そんな俺が2度目の一目惚れをしたのは

――入学式で新入生代表として壇上にあがっている美咲だった。


どこかあずさに似ている雰囲気をまとった女の子は、この学校に似つかわしくないくらい真面目そうで。

凛とした表情ですらすらと言葉を読んでいる女の子に、ただ目が離せなかった。



でも俺は


「人殺し」


もう2度と人を好きになってはいけない。


幸せになってはいけない。


そう、ずっと心に言い聞かせていた。

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