あの空に手を伸ばして
*
たかしと仲直りして、たかしがこの学校にきてくれたことは本当に嬉しい。
たかしが変わってしまったのを悔やんでいたから、また真面目なたかしに戻ってくれて嬉しい。
・・・はずなのに。
どうしようもなく、つらい。
たかしが笑うたびにあずさの笑い顔がよぎる。
たかしが喋るたびにあずさの声がよぎる。
目の前にいるのは、たかしなのにたかしではないように思える。
そして聞こえてくる。
「人殺し」
たかしが実はそう言葉にしているんじゃないかって何度も思う。
口が開くたびに、いつかそういうんじゃないかって怯える。
俺は、やっぱり弱い人間だ。