あの空に手を伸ばして


「姉貴に申し訳ないと思ってる?」

なにも返答しない俺に立て続けにたかしは確信をついてくる。


「姉貴はさ、サクには幸せになってほしいって思ってると思うよ。いまのサクみたらがっかりすると思う」

そんなのいわれなくたってわかってる。

あずさはたかしと俺の幸せを誰よりも願ってくれていたから。


「でも俺は、美咲を幸せにする自信がない」


きっと俺だけが幸せになったらあずさに申し訳ないとかいうよりも、こっちの理由のほうが俺の中で強いことに最近ようやく気付いた。


「幸せって、こっちが決めることじゃないよ。美咲ちゃんが決めることじゃないの?」

「・・俺は、愛されてこなかったから。わからないんだ。何が正しいのか」


俺の家庭のことはたかしはよく知っている。
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