あの空に手を伸ばして
実をいうと徹たちにも美咲にも俺の家族のことはなにも話していない。
もう壊れかけているのに、離婚はせずに仮面夫婦を続けている親の元にいる俺には、愛し方がわからない。
「美咲ちゃんはきっと、サクのそういうとこすべてを受け入れてくれると思うよ」
4人はきっと知らないだろう。
俺がどんなに弱い人間なのか。
どれだけ偽って自分を演じているのか。
「それでも俺は、やっぱりこわい」
結局は自分が傷つきたくないだけ。
あずさのようにいつかいなくなってしまうんじゃないかとか。
美咲の前ではかっこつけていい言葉並べて。
全部嘘じゃない。
嘘じゃないけど、でも――