あの空に手を伸ばして
「あれみたとき、すげえって思った。サクは俺のこと正義感に溢れてるって思ってるみたいだけどそんなことないよ。俺だって助けようとしなかった。きっと運転してたら同じようにクラクションを鳴らしてた。あんな風に優しく声をかけてあげることなんて、俺にはできなかった」
たかしが俺のことをそんな風にみてくれてたなんて、全く知らなかった。
「俺はサクが優しい人間だってこと知ってる。だからサクが中学であんな風になっても、俺はお前のそばにいて笑っていられることができた」
そういって俺に微笑みかけてくれるたかしは、俺をいじめから救ってくれたときのたかしそのものだ。
「大丈夫?」と声をかけてくれて倒れた俺に手を差し伸べてくれたあのときのまま。