あの空に手を伸ばして
「美咲っち、ごはんたべよ」
「うん」
屋上にいっていた頃はひとりで食べていたけれど、この時期はどうしても雨でいけないことがおおくて、そういうときは誘ってくれる。
まあ一人で食べてもいいんだけど、こうやって誘ってくれて嫌な気はしないし。
「あ、さやか。めっちゃいいじゃん。そっちのほうがかわいいよ」
ふと何気なく聞こえた言葉に視線を向けると、そこには地味で眼鏡をかけていた子がたっていた。
でも2か月前と違い、髪の毛を明るく染め、眼鏡からコンタクトに、そして化粧もばっちりだ。
ああ、これが俗にいう高校デビューってやつか。なんてどうでもいいことを考えた。
このクラスでまともな高校生にみえるのは残り少ない。
きっと夏休みが明けた頃にはわたしだけになってそうだな。