あの空に手を伸ばして
「騒がしくてすいません。今日はありがとうございました」
「いいえ。美咲といつも仲良くしてくれてありがとう。これからも仲良くしてあげてちょうだい」
「はい、もちろん」
そういってサクはわたしに「バイバイ」といって外にでていった。
さっきまでわいわいごはんを食べていたのに急に2人になって少しだけ寂しい。
「あんなにいい子たちだったら、安心だわ」
洗い物をしながらぽつりとそういったお母さん。
「お父さんがいたらきっと嫉妬しちゃうわね。あんなかっこいい男の子たちが美咲のそばにいるなんて」
「・・お母さん、ありがとう」
その言葉がどれだけ嬉しかったか。
思わず泣きそうになってしまうのを必死にこらえた。
―――このとき、サクが違う意味で涙をこらえているのなんて思いもしなかった。
―――わたしは本当に、サクのことを何も知らないままだった。