あの空に手を伸ばして
「美咲ちゃんも、先生になりたいんだっけ」
サクの教える声と、「徹、がんばれ」と忠くんと翠くんが励ましている声が聞こえる。
「うん」
わたしにも、先生になりたいという夢ができた。
サクが目指してるからとかそういう簡単な理由じゃない。
いままで真面目に勉強してきた分、人に教えることも多かった。
それが嫌いじゃないことに、徹くんの勉強を教えていて気づいた。
いままでは少し教えただけでも理解できて、教えたというよりはアドバイスをしてあげたって感じだった。
でも、徹くんは違う。
少し教えたくらいじゃわからない。
だからこそ、こっちも必死に馬鹿な徹くんにも理解してもらえるように考えながら教える。
そして徹くんが「わかった!」といって問題を解けるとこっちまで嬉しくなる。
そしてそれが楽しい。
そういう意味では、知らなかった感情を教えてくれたことに対しては徹くんには感謝している。