あの空に手を伸ばして


「俺、美咲が思ってるような人じゃない。かっこつけて美咲にいい言葉いってたけど、本当はめっちゃ臆病だし、弱い」

「うん?」

「でも、美咲のそばにいたい。幸せにしたい」

そういったサクは少し照れていて。


ああ、こんな顔もするんだ。


「付き合ってください」

「・・・はい」


聞きたいことはたくさんあった。

あずささんのことはいいのかとか、いつからわたしのこと好きなのかとか。


でも、そんなことサクに強く抱きしめられたらどうでもよくなった。


サクの心臓の音が聞こえて、わたしと同じようにはやくて。

それだけで、嘘じゃないって思えたから。



クリスマスの4日前、わたしに人生初の彼氏ができた。






―――わたしはまだ知らなかった。

これから起こる悲劇に。

簡単に崩れ落ちてしまう幸せに。

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