あの空に手を伸ばして


「・・落ち着いた?」


ずいぶん泣きじゃくってる間、4人とも静かにそこにいた。

こくりと頷く。

本当はいまだって信じられないし、信じたくないけれど。



「もっとはやくに、みんなに知ってもらっておくべきだった。そうすれば、サクのこと救えたかもしれないのに」

「・・・どういうこと?」



「サクは、父親に刺されたんだ」


そういったたかしくんの言葉が信じらない。


でもそれは信号機くんたちも同じだった。


「サクの両親は、ずいぶん前から仲が悪かったんだ。しょっちゅう喧嘩してるって。サクはよくいってたよ。仮面夫婦だって。はやく離婚してくれたほうがよっぽどいいって」


そんなこと、知らない。

サクは、自分の家族のことなんてなにも話さなかったから。
< 154 / 196 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop