あの空に手を伸ばして


「クリスマスの日、サクから連絡があったんだ。両親がまた喧嘩してるって。いままではそれを無視してきたけど、前に進みたいから、俺ちゃんと話してくるって」

「・・・」

「いやな予感がした。両親はサクのことあんまりよく思ってなかったから。それでサクの家に向かったんだ。そしたら・・・」


その光景を思い出したのか、たかしくんは一度言葉に詰まった。


「・・包丁で刺されたサクと、青ざめた顔をして立ってる両親がいた」


そして続けた言葉はどんなものよりも残酷だった。


「そんな・・」

「俺が救急車を呼んでからくるまでの間、あいつの両親と話したんだ。母親はあなたが殺したのよっていって。そしたら俺は悪くないって父親がいいだして。お前の育て方が悪かったんだってまた口論し始めて。

俺、それみながら思った。なんでもっと早くサクのつらさに気づいてあげられなかったんだろうって」




ねえサク。

サクはどんな思いで毎日過ごしていたの?

どんな思いで家に帰ってたの?

どれくらい耐えてたの?

どれくらい、一人で涙を流したの?


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