あの空に手を伸ばして
10年後
*
「先生、さようなら」
「さようなら」
かわいい子供たちがわたしの横を通り過ぎる。
そのたびにしっかり挨拶をしてくれるいい子たち。
あれから、10年たった。
16歳だったわたしは26歳に。
そして小学校の先生になった。
まだまだ新米で、今年からやっと担任をもつことになっててんやわんやの毎日だ。
でも、やっぱり楽しい。
子供たちが必死に理解しようとしてくれて、勉強を頑張ってる姿をみるとあの頃を思い出す。
徹くんに勉強をびしばし教えるサクとたかしくんがいて、そんな徹くんを必死に励ます忠くんと翠くんがいて、それをわたしは遠くから眺めている。
どんなに年月がすぎても、色あせることのない大切な思い出。