あの空に手を伸ばして
どうしてもこの家にいると、孤独を感じる。
この孤独から抜け出したいのに、抜け出そうと1歩を踏み出したいのに、親からいわれた「産まなきゃよかった」そんな冷たい言葉が頭をよぎる。
なら、どうして俺を産んだの?
どうして?
俺は産まれてこない方がよかった?
一一一「みんなに会えてよかった」
美咲が言ってくれた言葉だけが、俺のそんな弱い心を溶かしてくれる。
抱きしめた時のぬくもりが、今も抜けない。
ドキドキしたあのとき、お互いの心臓の音がきこえたとき、ああ、おれは生きてる。そう思えた。
いつものように自分の体を抱きしめた時、美咲のぬくもりを思い出して、温かくなる。
今日は、悪夢をみませんように。
そう思いながら眠りについた。