あの空に手を伸ばして


「サク、また喧嘩したの?ケガみせて」

いつからか、わたしはサクの傷の手当をするようになった。

「いいよ、こんなの」

「だめ、膿んじゃうから」

「わかったよ」

はじめのうちはいくらいっても拒否されたけど、最近やっと素直になってきた。

心配しすぎてるのはわかってるんだけど、いつか変な事件に巻き込まれないか不安でたまらない。




「ねえ、どうして喧嘩するの?」

ぽろっと口からでた言葉。

そんなこと聞かれたって意味なんてないかもしれないのに。


「・・・」

サクが悲しそうな顔をするから、ほっておけなかった。


「わたしにできることならなんでもするから、いって。ね?」

「――っ」

「・・サク?」


悲しそうな顔から、その目から、涙がポロポロと流れ落ちた。
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