あの空に手を伸ばして


「――っ、俺、生まれてこなきゃ...っ、よかったの、かな」


たった一言はなたれた言葉は重たくて、苦しかった。


そのあと少しずつだけど家族のことを話してくれたサク。


「俺、こわいんだ...どうしたら、いい?」


思えばこのときだけだったのかもしれない。

サクが弱さをみせたのは。弱音を吐いたのは。


何度、サクはこうしてひとりで涙を流していたんだろう。



その次の日からけろっとした顔で「わりいな。あんなとこみせて」なんて強がったサクが、偽の姿なことくらいわかってる。


いくらでも弱さをだしていいのに、いくらでも頼っていいのに、心配しても「大丈夫、大丈夫」とサクはずっと笑うだけだった。

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