あの空に手を伸ばして


「ねえ、ここ?」

でも、その考えはどうやら失敗だったらしい。

なにも考えずについてきた先は屋上だった。


雨はやむ気配がなく、地面もびしょびしょ。

「いえーい!!」

「ふぅー!雨たのし!」

「ああ、気持ちいいわ」

この3人はどうやら頭がおかしいらしい。

だって、なにも迷いがなく雨が降りしきる中に飛び込んでいったんだから。


「風邪ひいちゃうよ!」

「いいよいいよ。ほら、美咲ちゃんもおいでよ」

「・・・」

なんて返していいのかわからないくらいよくわからない状況だ。

そんなわざわざ自分が風邪をひくかもしれないと思ってまでわたしはこの空に近い場所にいたいわけじゃない。
< 19 / 196 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop