あの空に手を伸ばして
*
「コンビニいってくるね」
警戒心がなかったといったら嘘になる。
でも、なるべく普通でいたい。
びくびくしながら生活をしたくないから、なるべく普通に。
でも―――
コンビニまであと少しというところで誰かに腕をつかまれ、薬品をかがされた。
次に目が覚めたときには、手足を縛られ、口にガムテープ。
横をみればみたことがない男。そして目の前には数えきれないほどの男。
「南倉庫にこい」
横の男がわたしが起きたのを確認して誰かに電話をかけた。
ねえ、お願い。
誰もこないで。
傷つけたくない。傷つくのはわたしだけでいい。