あの空に手を伸ばして
「よお、はやかったじゃねえかサクくん?」
そんなわたしの願いもむなしく、サクがあらわれた。
急いできたのか相当疲れている様子のサク。
でもわたしに気付くと途端に顔をかえた。
「おい!あずさをはなせ!」
「無理だね。あずさちゃんには死んでもらうんだから」
「・・死んで、もらう?」
「ああ。俺実は暴力団と関係をもってるんだ。それでお前に倒された話したら面白がってさ。いろいろお前の情報おしえてくれたんだよ。なあ、鬼頭サクくん?」
「ざけんな。だからってあずさは関係ないだろ!」
「いやー、本当はお前を殺してあげたいところなんだけどさ。このあずさちゃん?って子殺したほうがお前にダメージくらわせられるんじゃないかって思ってよ」
サクと男の会話を聞きながら、ほっとした自分がいる。
よかった、サクを殺さないならそれでいい。
死ぬのはわたしだけでいい。
死にたいわけじゃない。生きていたい。
でも、サクがこのまま死んでしまうくらいなら、わたしはいくらだって変わりになる。