あの空に手を伸ばして


「気にすんなよ」

「え?」

サク――黒髪男子も一緒に屋上まできていたのを忘れるくらい気配を感じなかった。


「サクくんは、どうしてあの3人と一緒にいるの?」

「サクでいい」

こんなことを聞くのは野暮かもしれないと思いつつ聞いたのに返ってきたのはそんな言葉だった。


「え、あ、じゃあ苗字教えて?」

「いいよ、サクで」

意外と頑固なサクの言葉にわたしは諦めて頷いた。

こっちに顔を向けることなく3人がはしゃいでる姿を少し楽しそうに眺めているサク。

さっきの質問はなかったことにされたけど、仕方ないから許してあげよう。
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