あの空に手を伸ばして


いまこうやって目の前で目をうるうるさせている赤髪の徹くんだ。

「はあ、びしばしいくからね。手加減しないよ?」

「はい!」


返事だけは威勢よかったけれど、そのあとは何回も何回もくじけてそのたびに「もう俺かえる」なんて言い始めて、「じゃあ夏休みなくてもいいんだ?」というと「やだ」といってまた机に向かうという繰り返しだった。


「あああ、俺たぶん一生分頭よくなった気するわ。もう勉強一生しない俺」


最後にはこうとまでいった徹くんだったけれど、なんとか理解はできたようで一安心。


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