あの空に手を伸ばして

でも、いまのわたしは違う。

心臓がドキドキしているのはそんなことじゃなくて、サクと手をつないでいるから。

暗いからってことで門のときから離されることなく繋がれた手。


さっきまで少し寒いと思っていたのに今は全身が暑い。

会話をするわけでもなく、階段を上る音だけが響きわたる。

こんなに静かだから、心臓の音が聞えちゃうんじゃないかって思うけど前を歩くサクは気にすることなくわたしを引っ張ってくれる。


「よし、あけるぞ」

そして外へと続く扉の前まできた。

「・・綺麗」

扉をあけるとそこには無数の星が広がっていた。

きっと、いまどこにいる人よりも一番近くでこの綺麗な空を眺めている自信があった。
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