あの空に手を伸ばして
伸ばしていた手が震えていることに気づいておろそうとしたときサクの両手に包まれた。
「っ」
「大丈夫だ。美咲の夢は消えてない。ちゃんとある」
「でも・・もうなにもない」
「あるよ」
「・・・どこに?」
「目の前」
サクは自分の右手をわたしと同じように空に向けた。
「たしかに空には手が届かないし、いま目の前にこんなにも無数の星があるのに1つも手にとることはできない」
そういうとサクは右手を大きく振りそのまま握りこぶしを作った。
「でもさ、信じてなきゃ本当になにも起こらないよ」
サクは握りこぶしをつくったままの右手をわたしに差し出した。
「これ、美咲にあげる」
サクがゆっくり右手を開くと、そこには星があった。