あの空に手を伸ばして


「はぁー」

なんだかやっと息を吸えた気がする。


ここは屋上。

わたしは毎日ここにくるのが日課になった。

だってここは、この学校の中で一番空に近い場所だから。


もう届かないってことにとっくに気づいているのに、わたしはそれでも手を空に伸ばす。



空はというとそんなわたしになんて気づきもせず、変わらず雲がただゆっくりと流れていた。


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