あの空に手を伸ばして
海でスペシャル花火大会
*
「海だー」
いまは19時。
8月になってだいぶ日が伸びたけれど、それでももう薄暗い。
そんな中で信号機くんたち3人組は海に向かって走っていった。
「ほんと馬鹿だよね」
なんとなく想像はしていたけれど、高校生にもなってこんなにも海ではしゃぐなんて。
でも、ちょっぴりうらやましい気持ちもある。
「美咲もいってくれば」
そんなわたしの心を見透かしたようにサクはいう。
まるで自由を手に入れてこいといっているかのように。
「うん、いってくる!」
わたしははいていたサンダルを脱ぎ捨てて砂浜を走った。
「いえーーーーい!!!」
そんな言葉を発しながら海へと入る。
こんな大声をだしたのは久しぶりかもしれない。
すでに海へと足をつけていた徹くん、忠くん、翠くんはそんなわたしを出迎えてくれた。