あの空に手を伸ばして


サクのはあんなに早く落ちてしまったのにわたしたち4人の線香花火は未だにぱちぱち音を立てている。

「じゃあさ、次に落ちた人は好きな人発表するってどう?」

「え?・・あ!」

徹くんの提案に動揺したわたしは大きく手を動かしてしまいあっけなく落ちた。

「はは、美咲ちゃんの負け」

「ちょっと、ずるいいまの」


3人の線香花火もそのあとすぐに火の玉は落ち、静寂が流れた。


「サクは、やめとけ」

そんな静寂をきるように徹くんがぽつりと口にした。

「え?」

「サクのことが好きなんでしょ?でも、サクはやめといたほうがいい」

そういった徹くんの目は真剣で、怖くなって忠くんと翠くんに助けを求めようとしたけれど、3人とも真剣な目だった。

いつものおちゃらけた3人の姿なんてそこには全くない。
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