あの空に手を伸ばして


どうしてだろう。死ぬのは怖い。

でも、こうして目の前でサクが、徹くんが、忠くんが、翠くんが殴られているのをみるほうがつらい。


みんなは素手なのに、鉄パイプをもった男たちが平気でそれを振りかざす。

それに明らかに向こうの人数が多い。

このままじゃ、もしかしたらみんなが死んじゃうかもしれない。

それのほうがわたしには耐えられない。


「美咲!」

徹くんが、忠くんが、翠くんが、サクにいけとでもいうように背中を押し、ふらふらになりながらサクが歩いてくる。


「たかし頼む。やめてくれ」

そんなサクの言葉に笑った男は、包丁を大きく振りかざした。

わたしはとっさに目をつぶった。



「サク!!!!」


徹くんの大きな声がして目をあけた。

わたしに刺さるはずの包丁は、サクの右肩に刺さっていた。


「・・サク??」

わたしの意識はそこで途切れた。
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